農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜2〜

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前回はこちら。

農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで

AIで野菜か雑草かを見分けることをチャレンジしようと思い立ったわけですが、果たしてどうすれば判別できるのか。そもそも、判別できるものなのか分からない状況でした。

そんな状況の中、農家さんと話をした翌週にThe Wave塾の講師としていらっしゃったのが、東大発ベンチャーのエルピクセル株式会社の代表の島原さんでした。

Lpixel

島原さんの講義を聞いていると、なんとAIを用いた画像認識を専門でやられているとのこと。しかも農業系でも画像認識をやっているそう。なんというか、飛んで火に入る夏の虫とはこのことなのか。いや、違うか。

いきなり、

「この人に聞けば分かるんじゃないか」

状態です。チャンスが訪れたわけです。

The Wave塾では毎回講義の後に懇親会があるのですが、そこには講師の方も参加されます。ということで、早速聞きました。

「野菜か雑草かってAIを使った画像認識で判別することって可能ですかね?」

果たしてなんて返答されるのか。

 

 

「多分出来ると思いますよ」

 

おっしゃ。きたと。そこがいけるんだったら、話は進みます。

「実際判別できるかどうかって、どうやれば分かりますかね?」

ド素人の質問丸出しですが、恥じていても仕方ありません。

「実際の現場の写真が見たいですね。雑草と野菜の葉の形の違いや、特異点がどれだけあるのか知りたいです」

至極真っ当なご返答です。

こう言われたら一つです。

行動するしかありません。

 

雑草を視察する

まずは、現場の写真を撮影しにいきます。

農家の友人に連絡を取って、実際の現場を確認させてもらいました。

 

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パット見だと、どれが雑草かどれが野菜か分かりませんよね。

ただ、どれが野菜でどれが雑草かを事前に分かっていれば、なんとなく判別できそうな気がします。

AIで処理するときに教師データと呼ばれるものがあります。判別の元となる画像を用意することで、判断がスムーズにできるようになるのですが、野菜or雑草の教師データを学習させれば十分に判断できるのでは。と素人的にも感じました。

AIが画像を判断するといっても、人間ができない判別はAIも難しいわけです。つまり、人間が判別できるレベルのものであればAIも判別することができる。

 

写真を撮影して、すぐにエルピクセルの島原さんに時間を取ってもらい、確認をしてもらいました。

「これが現場の写真なのですが、判別できそうですか」

ここで難しいと言われたら話はおじゃんです。

 

「7、8割の精度であれば判別できるのではないかと思います。」

とのことでした。

 

最初としては十分に精度が出る印象です。

そもそも論ですが、今回考えているのは野菜と野菜の間の雑草をいかにして取るかということです。ただの雑草を処理するのであれば芝刈り機ってガーーっと刈り込むこともできます。

ただ、野菜と野菜の間で芝刈り機が使えるはずもなく、人の手で雑草を抜いているのが実態としてあります。と、口で言っているだけでは仕方ありません。希望は見えてきました。

ということで、実際に自分たちでも雑草抜きの仕事をしてみることにしました。

 

大変すぎる雑草抜き

答えは現場にある。

というより、現場を体感しないと、分かることも分からない。

早速、友人の農家繋がりで紹介いただいた、横須賀の農家さんで雑草処理のお手伝いをしました。

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どうですか。弊社大山のこのくたびれた表情。

これだけでも大変さが伝わると思います。

もうね。大変。ホントきつい。

まず「どれだけやっても全然終わらないんじゃないか」と嘆きたくなるほど、農地というものは広いです。

あまりにも広大な農地の中で一つ一つ雑草を除去していくのは修行としか思えません。

とある農家さんは、雑草を抜く作業のことを「青春の浪費」と呼んで、なるべく雑草が生えないようにしているそうですが、まさにその通り。

農家さんには怒られるかもしれませんが、

「こんなもの人がやる作業じゃないわ」

と感じたからこそ、より強くロボットを実現させ気持ちが強くなります。

 

そして、雑草を抜く作業を通じて、美味しい野菜を普段から食べられることに対し、農家さんへの感謝の想いが芽生えます。

小学生から全員農業体験やった方が良いです。食べ物を普通に食べられる有難さを実感できます。

 

ちなみに、雑草に関する問題点を大別すると3つに分けられます。

 

1,腰をかがめて作業するのが大変

野菜と野菜の間を見分けながら、一つ一つ人力で抜いていきます。当たり前ですが、腰にきます。昔から農作業しているおばあちゃんの腰が曲がっている理由の一つですよね。

 

2,野菜の生育を阻害する

雑草をきちんと抜いてやらないと野菜の発育が悪くなるそうです。

雑草のほうが野菜よりも成長スピードが早いことが多く、雑草が伸びて野菜に対して陰を作ることで野菜の発育に悪影響を及ぼします。

また、土のエネルギーが雑草の成長に供給していたら、これも無駄なロスといえます。

雑草を除去する作業が普段の仕事が忙しく追いつかないため、せっかく種を蒔いて育てた野菜が、出荷できない状態になって廃棄するしかなくなっている現場も見たことがあります。

 

3,近隣への悪影響

雑草が生えているのを放置していると、そこに虫が集まり、疫病が発生する原因となることがあるそうです。日本の農家の農地というのは点在しており、ある一帯の農地内でAさんの農地の横はBさんの農地。その横はAさんの農地で、さらに奥はCさんの農地。

といった具合に、自分が持っている農地が点在していることが、ままあります。つまり、自分の農地だからと雑草を放置して虫が集まってきてしまうと、近隣の人に迷惑をかける恐れがあるわけです。それがプレッシャーとなり、速やかにやらなければならない心理的負担も大きいそうです。

 

現場に出て、自分たちが実際に作業をすることで、雑草の処理がどれだけ大変なことなのかが身に沁みて分かりました。

これだけ大変なのであれば、ロボットが雑草を抜いてくれれば導入したいと考える人は、一定数いるだろうなということも肌身に感じたからこそ分かります。

雑草を抜くロボットを開発する。

その意義を改めて感じられる出来事でした。

 

しかし、今の自分たちが分かっているのは、

「雑草か野菜かを判別することはできそう」

という予測だけ。

 

果たして、どうやって雑草を抜くのか。そもそもロボットをどう動かすのか。外で動けるものなのか等々。

未知の世界のことしかありません。

ここから次のアクションが始まります。

次回はこちら
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