農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜3〜

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農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜2〜

野菜か雑草かを画像認識できそうなことは分かりました。

ロボットの開発に関して必要な要素は、

・自律走行(勝手に圃場内を動きまわってくれる)

・ロボットアーム(雑草を摘んでくれる)

・移動体(そもそも動く物体)

・インテグレート(画像認識した情報をロボットアームに伝える等)

などなど。

他にも実際に販売するとなったときに、どのようにして販売ルートを構築し、メンテナンス網はどうやって設けるか等々。

いろいろとやることはありますが、先ずは一旦技術ベースで開発できるかどうかに焦点を絞って動いていきました。

 

プロに聞く

未来の農業用ロボットをイメージすると、ロボットが圃場内を自由に動き回る姿を想像します。自ら考え、学習し、必要なタスクをこなしていく。そのためには、自分で動く必要があるわけです。

車の自動走行分野では、アメリカでTesraを筆頭に開発が進んでいます。国内でもトヨタ等のメーカーが開発しています。ということは、農機具だって自律走行ができるはずでは。そんな浅い考えには至るわけですが、一体誰に聞いてよいか分からない。そんなときにググっていると以下のサイトを見つけました。

つくばチャレンジ

この大会は500以上の団体が参加し、つくば市の中で決められたコースをロボットが自律走行して課題をクリアしながらゴールを目指す大会です。大学の研究室が主体として参加しています。まさにロボットの自律走行を研究している人達がここに集まっているはず。

 

ということで、ひたすら連絡します。どこの馬の骨とも分からない状態です。なので、自分たちが実現したいこと。なぜ、それをやりたいかの理由。そういった思いを込めて、ひたすら大学の先生方にメール等をお送りしました。

10件送ってダメなら20件。それでもダメならさらに10件。といった具合にやっていくと、有難いことにお逢いいただける先生方がいらっしゃいました。

例えば、上記つくばチャレンジの副委員長もやられている、筑波大学の坪内先生。ロボットの自律走行を研究されている先生の中でも、とても有名な方です。

IMG_2932

 

せっかくなので、問題ないであろう範囲でご教授いただいた内容を少し共有すると。

・典型的な場所を例示して、ここまでできるかどうか。走行場所の環境条件を明確化することを第一にする。
・ある程度対象が広くなるとメカも難しくなる。仕様策定が非常に大事。そこが明らかになっていると良い。
・最初からこれだけのハードルがあるということを捉えなければならない。
・100例〜200例くらいの現場状況を確認して累計が出てくる。そのための調査をしなければならない。
・大学はいろんな技術があるから、使うのは良い。これまでに培ったノウハウはそこにあるから出すのはやりやすい。ただし、新しくやる話については、学生次第の歩留まりでリスキーな部分もある。
・実験的に難しさを保存したまま、どこを優しくするかを積み上げていく。
・自分が右に逸れたら左に戻す舵を切る作業ができるかどうか。
・完全自動でやるか、人が介在するか。

このような話を複数の大学の先生方々から伺うことができ、現状の課題や必要なポイント等を整理することができました。

 

立ちはだかる課題

プロの意見を聞いていった上で分かってきたことがあります。その点をまとめると以下のようになります。

1,目印がない

つくばチャレンジのように街中であると、目印となるものが複数あります。なので、そういったものを記憶させることによって自律走行がさせやすくなる環境があります。しかし、圃場の場合は、基本的に土が拡がっているだけので目印になるようなものがありません。そのためロボットが今どこにいるかの位置の確認が難しいです。

 

2,広大な敷地

ロボットに自律走行させるためには、いくつか方法があります。例えば、ルンバのように段差のない範囲を自分が障害物に当たらないようにして、ひたすら動きまわる方法があります。他には、目印を設置してその目印を頼りに自己位置を推定したり、動かしたい経路を人力で動かせて、その場所をインプットさせるような方法もあります。

しかし、仮に人力で一度インプットしたとしても、野菜を生育させる畝と呼ばれる少し土をこんもり高くさせる部分は生育毎に毎回新たに高くさせられます。つまり、年々位置が微妙に変わるので、そのたびにインプットさせる手間が発生します。

 

つまり、目印にしろ経路をインプットさせるにしろ広大な敷地となった途端に、人の手間やコストが莫大になるため現実的ではなくなります。また、GPSのような通信技術もありますが、現状GPSでは誤差が出るため精緻な動きを行うのは現実的ではありません。

 

 

3,コストをかけられない

北海道にある大規模農場では既にトラクターの無人化が行われています。なので、同じようにできるのでは!?と思われるかもしれませんが、実はあれは特別な基地局を数百万円かけて建設しています。そうすることで、数十cm単位で自己位置を補足できるようになっています。

今回僕らがターゲットとしているような農家さんは、設備投資を多額にかけても十分にリターンが見込めるような大規模農家ではないので、ロボット代プラス基地局代まではとてもじゃないですが、難しいのが実態です。

ただし、2年後くらいになると状況は変わると思います。準天頂衛星というものが民間でも利用できるようになり、そうするといまのGPSのような機能が数十cmのズレ内で収まるようになります。その衛星システムを使えるタイミングになると、外での自律走行に関する新たな技術がたくさん出るものと思われます。

JAXA準天頂衛星システム

 

Next Step

自律走行に関する課題はかなり見えました。広大な敷地を基地局を建てずにやることは、、、、難しい(笑)

いろいろリサーチして、「現状では難しい」ことが分かりました。ただし、前述したように、準天頂衛星が一般に使えるフェーズになることで、大きく可能性が変わります。また、小規模農地で難しいだけであって、大規模農業がやられている地域で、かつ、既に基地局が建っている地域であれば、自律走行をするロボットを導入することは難しくないはずです。

 

そして、自律走行させるのが広大な地域だと難しいですが、ある程度絞った面積の中であれば、十分に実現することは可能です。例えば、何かしらのマークを設置する方法等です。

 

自律走行をするために必要な要件等は十分に分かりました。

ただ、まだまだ課題は山積みです。

雑草を「取る」にはどうすれば良いのか。

次なる新たな課題に挑戦が続きます。

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