農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜4〜

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農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜3〜

農業用ロボットの自律走行に何が必要か。どんな課題があるかについての理解はできました。

では、動いて、発見して、画像で認識して、次の作業。

「雑草を取る」

どうやってロボットが雑草を取るのか。

ブレストレベルで考えると、いくつか方法があります。

1,ロボットアームで掴んで取る

一番現実的っぽい、かつ実現できそうな方法です。認識した雑草をアームが取りに行って摘んで回収する。ただ、本当にそんなことができるかどうかはサッパリ分かりません。

2,レーザーで焼き切る

ロボットアームが野菜を避けながら雑草を取るのは難しそうだから、もっと直接的に雑草をなんとかできないかと考えて出てきたアイデアです。このレーザービームで焼き切る案ですが、調べてみると2012年にドイツの大学で研究して実証されていました。

レーザで雑草の分裂組織を破壊

ただ、どう考えても、コスト面で見合わなそうなのと動力が大変そうです。

・除草剤を噴射する

雑草を画像認識したら雑草に目がけてピンポイントで除草剤を噴射します。これなら、無駄に除草剤を撒く必要もなくなります。ただ、調べていくと野菜が生育を始めたら除草剤を撒くこと自体がNGだそうです。少量でもその除草剤の成分が野菜に浸透してしまうからとのこと。

 

アームで掴みたい

上記のように検討してみたのですが、やはりロボットアームで掴むのが一番現実的な気がするし、実現可能性が高い気がします。ということで、ロボットアームを現実的に動かしている人が誰かいないのかと思って調べ始めました。

産業用のロボットアームとして工場に入っているものから、ホビー用途で使えるロボットアームまで。既に世の中にいろんな形で出てはいるのですが、その中で親和性が高いのではと思いついたのが医療用のロボットアームです。

医療現場で使われる手術用のロボットアームは、用途も用途ですから、かなり精緻な動きをしているはずです。であるならば、野菜の間をすり抜けて雑草を捉えることもできるのではと考え、お会いさせていただいたのが東工大の只野先生でした。

IMG_2727

只野先生は医療用のロボットアームの研究者で、大学発ベンチャーの会社の役員として医療用の手術ロボットを市場に出されている実績もおありのすごい方。

リバーフィールド

率直に、雑草の草取りをできるロボットを考えていること。そのためにロボットアームを活用してできないかと想定していること等をお伝えさせていただきました。

果たしてどんな反応が返ってくるか。

不安もある中で返ってきた言葉が、

「面白いから、やってみたいですね。」

とのこと。これほど嬉しかった瞬間もなかなかありません。実は只野先生、簡単な家庭菜園をやられていたそうで、雑草の草取りが大変だということの実体験があったという、信じられないような奇跡。

課題の共有がたまたまできていたことで、とてもスムーズに話ができました。

雑草掴むことできそうじゃないか!!

 

夢想から現実へ

雑草を画像で認識して掴んで取る。

着想してから、なんとなくできるんじゃないかと考えられるまで、この間3ヶ月ほど。

そもそも農業への興味もなかったですし、実現するために必要なのがどういった技術で誰にお願いすればできるのかも分からない状況でした。が、それでもなんとなくやれる感じがしてくるものです。

なぜこうなったのかポイントを整理すると。

 

1,目の前の相手が大変なことを知る

農家の友人が大変で困っている。リアルな声を聞いたからこそ、解決したいと着想したのがスタートです。切羽詰まったニーズがあるところには、きっと他にも困っている人がいるはずで、やる価値があるはずです。

2,自分たちで体験してみる

雑草の草取りを自分たちで体験したのが良かったです。どれだけ大変なのかを汗をかきながら体感することで「これは人ではなくロボットにやってもらいたい」と自分ごと化することができました。

3,他にも大変な人がいるか探る

実際に困っているのが目の前の人だけなのか。その他にもいるかどうかを検証するために、農家繋がりで紹介をいただきながら、他の農家さんのところに出向いて雑草の草取りを重ねました。そうすることで、他にも困っている人達がいることがよく分かったり、人によってはそこまで困っていないことも分かります。幅広い現状を掴むことで、どこにフォーカスを当てるべきかも把握できました。

4,割り切る

大学の先生方にヒアリングを重ねていきましたが、メールでご連絡をしても、返事が返ってこなかったことも多数ありました。返事が返ってこなくても「そういうもの」と割り切ることで、次のアタックが可能になります。

5,言い続ける

最初の時点では、何もリソースがない我々がロボット開発ができるなんてその見込みは一切なかったわけなのですが、それでも実現させるということを周りに言い続けていました。すると、だんだんとそういったことを考えている人達だと見られていきます。すると、関係する人を紹介いただけたり、思いもよらない話が出てきます。

 

そして、その流れで次なる展開が待っていました。

それがアスパラガスの収穫ロボットです。

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農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜5〜