農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜8〜

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農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜7〜

助成金を狙っていく上で、雑草の除草よりも、アスパラガスの収穫ロボットの方が筋が良いということが分かり、とにかくアスパラガスの生産者の方々に会うべく、可能な限りさまざまなルートからアポを取り付けました。

そして、実際にお逢いしていただいた農家さんから様々な気付きをいただきます。

最初にお会いしたのが栃木県でアスパラガスを育てている上野ファームの上野さん。

上野ファーム

上野さん

アスパラガスの有名な生産地である佐賀県で生育方法等を学び、現在は栃木県でアスパラガスを生産している方。

当時見せていただいた圃場はこんな感じでした。

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お伺いした時期は1月末だったのですが、ようやく芽が出始めていたり、昨年立茎させたものが枯れたままの状態。収穫を開始するには、まだ少し早い時期でした。

上野さんとは、その後もやり取りをさせていただいており、GPSの精度調査等でご協力いただいております。その様子はまた別の機会に。

栃木県は関東の中ではアスパラガスの生産が盛んな地域で、他にもお会いさせていただきました。

農人たちという農業ユニットを組んでいる宮本さん。

農人たち

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無農薬でアスパラガスを栽培するという、他ではあまり聞かない取組みをされていました。元々IT系の仕事をしていた方が、就農し、かつ地元の人達に対して開かれた農業をやっているという、とてもユニークな経歴の方です。

地元の高校と連携し、高校生が林を授業で開墾して農場を作る授業を実施することもされているそうです。他にも多くの方がこちらでボランティアとして作業を手伝っているそうで、新しい農業のあり方をいち早く展開している方でした。

 

アスパラガスの施設栽培は、九州が一大産地です。九州でのアスパラガス栽培は、面積当たりの収量がとても高いのが特徴で、そういった環境でも適応するロボットであることは必須です。もちろん、学ばないといけません。ということで、飛行機に乗って視察に向かいました。

こちらの農家さん達は福岡の糸島という地方でアスパラガスを育てている生産者の方々です。

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嬉しいことに、周りの友人の農家も興味を持ってくれたからと、複数のアスパラガス農家さんと一度に話しを伺えました。

ちなみに、ご連絡させていただいたのは、藤井グリーンファームの藤井さんです。

藤井グリーンファーム

藤井グリーンファームは福岡県糸島市にあるのですが、他の地域のアスパラガス栽培ではあまり見ない、連棟ハウスというビニルハウスが連なっている大きなハウスなのが特徴的。元々イチゴを栽培していたハウスを、アスパラガス栽培に切り替えているため、連棟ハウスが多いそうです。

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皆さんにいろいろ話しを伺っていると、

・アスパラガス部会というものがあり、そこで情報が広まることが多いこと。
→アスパラガス部会の中でロボットの話をしてもらえば、口コミベースで認知が広がる可能性が高い!
・春になるとビニルハウスの入口のドアは開けっ放しにしている。
→ドアが開けっ放しであれば、ロボットが自律走行でハウス間の移動もできる可能性が高い!
・虫を発見してくれたら嬉しい。スリップス、あざみうま類、ヨトウムシ、青虫みたいなの
→画像認識で判別できる可能性あるじゃん!新たなメリット加わるじゃん!!
・ロボットが代わりに収穫してくれたら、休暇が取れるようになるから楽しみ。
→えっ。。。毎日収穫しなきゃいけないから休みがないんだ。それ過酷すぎるじゃん。ロボットあった方が良いじゃん!!

といった具合に現場の方の話を伺うことで、どのような機能があったら喜ばれ、農家さんが喜んでくれるであろうことがドンドン実感できるようになっていきました。

他にも、いくつかの現場を回らせていただきました。

ウィング甘木

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ウィング甘木さんは、経営面積が90haもある大きな圃場をお持ちの農業法人。福岡の中でも有数の大きさじゃないでしょうか。

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大木町という福岡の中でアスパラガスの一大産地となっている地域で活躍されている古賀さんや、100a以上管理している農業法人モアハウスさん。アスパラガスの漬物を作っている奥園さん等々。九州のアスパラガス農家さんをひたすら回りました。

 

そして、九州だけではとどまりません。

アスパラガスには大別すると、ハウス栽培と露地栽培があります。露地栽培のアスパラガス農家さんの実態もきちんと抑えないと、いま描いている段階のロボットがどれだけ通用するかも分かりません。ということで、飛びました。次は北海道へ。

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北海道の美唄市にあるうちやま農園の内山さん。北海道だけでなく、全国にお客さんがいらっしゃるハイパーアスパラガス農家さんです。栽培面積も6haというハウス栽培の方々の数十倍規模で運営されているのも、北海道の農家さんらしいといえるかもしれません。

過去にアスパラガスの収穫ロボットの研究に携わったこともあるそうで、大変貴重なお話を伺えました。北海道と同じく露地栽培の産地として有名なのが長野県。

ということで、長野でアスパラガスを生産されている小林さんのところにも伺いました。

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脱サラからの農業ということで、農業への新規就農の話。そして、いまも動いているとあるセンサの開発に関する示唆等々。アスパラガスに関すること以外でも、大変貴重なご意見を伺えました。ということで、上は北海道から下は九州までさまざまな産地をまわりました。

 

生み出す価値

時間もお金もかかりますが、それでも現場に通い続けることが、とてもとても大事だなとあらためて実感します。農学も工学もド素人の僕らが進めているプロジェクトです。だから、プロフェッショナルの方々と一緒に進めることで、自分たちにない経験やスキルを補っています。

その中で、僕ら自身が積み上げていくのは、どれだけ現場のことを知って、本当に必要なものは何なのか。後回しにするのであれば、何を後にするかの優先順位付です。

もちろん、そのためには現場のことだけではなく、技術的にできることがなにか。いまできること、将来的にできるようになるであろうこと等を含めた、ニーズとソリューションとリソースのマッチングを組み立てていくことです。

今回のようにプロジェクトベースだと、ロボットアームから画像認識、移動体の制御等、各プロフェッショナルの人やチームとプロジェクトを組んで進めているので、社内で技術的な何かを組み立てるのは今のところ動いていません。(近々、そうとも言ってられなくなるのは分かっているので、動き出しはしていますが)

VCとかにいくと、「御社は何をしているんだっけ??」みたいなことを聞かれるのですが、プロジェクト全体を作って回して、そこに資金を集めて。販売のルートを作ってという、非技術的なことをやっています。

本当はぼくが技術者であったりする方が良いのでしょうが、非エンジニアが、全く専門外の部門で、今までにないソリューションを作って、ユーザーがメチャメチャ喜んでくれて、そして売上も利益もとっても上がったら。

なんだか希望のある話じゃないでしょうか。

自分がエンジニアじゃないからとか、専門家でもないから、なんて言い訳してたら格好悪いよね。って声を大にして言えますよね。思い立ったこと。あったら良いなと思ったこと。その思いからだけでも、形にして、市場に出して、大きな結果が取れるようになるんだ。

ってことを、実証できる楽しみがあります。

なんて言ってても、まだまだ足りないリソース。

画像認識はできそう、ロボットアームはなんとかなりそう、農家さんのニーズも聞いて、何が必要かも分かってきた。でも、どうやって移動する部分を作れば良いのか。。。

肝心かなめのベースとなる移動体はどうすれば良いか。次なる動きへ進みます。

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