都会の会社と地方の会社では生み出すサービスに違いがでるなと切々に感じている話

農業用の収穫ロボットという、第一次産業の現場をサポートする仕事で奔走しています。我々がやっているような農業周りのテクノロジーが、ここ数年Agritechと呼ばれていますが、Agritechベンチャーの特徴がいくつかあるんですね。その一つが本社が地方にあるベンチャー企業が多いこと。

なぜかって、当たり前っちゃ当たり前なのですが、問題を抱えている現場と、解決策を考えられて実行できる人が近くにいるから。

 

ここに面白さがあるなと思うんです。

つまり、”身の回りで困っている人の声”が農業に関することなら、都会よりも地方にいる方が圧倒的に見聞きすることが多いはずです。

僕が今の事業にコミットしているのも、鎌倉という地に住んでおり、鎌倉野菜を生産する農家の友達がいた関係性からキッカケが生まれました。もし、渋谷に住んでいたら、農家の友達と飲みながら話す機会もなく、いまの事業の着想すらなかった可能性が高いです。

漁業に関するベンチャーなら、やっぱり海の近くに本社があるケースが多いでしょうし、林業ベンチャーなら森の近くに会社があるんだと思います。

 

そもそも、自分にインプットされる課題って、地域のバイアスがかなりあるのでしょう。都心に住んでいたら、その周りで起こる課題に気づきやすいし、地方に住んでいたら、都心にはない課題に気づきやすいわけです。

地方に住む人がドンドン減っている現状においては、地方の課題に気づく人が、絶対数として少なくなっているのではないでしょうか。

まだまだAIだったり、ロボティクスだったり、新たなテクノロジーが入っていく業界や業種って山のようにあるはずです。テクノロジーで何が解決できるかをイメージできるようになったら、みんなが集まっている都心でイノベーションを考えるより、人があまり行かない場所で考えたほうが、より面白い着想ができるかもしれない。

そんなことを、地方に行く度に、自分の知らなかった業界を深掘りしていく度に、切々に感じます。

まぁ、地方に旅行しているだけじゃ深掘りまでいかないから、しかるべき人と会ったりしないと、何が課題か分からないって問題はあるのだけどもね。

 

あとは、自戒を込めて世界レベルでみたら日本も世界の中の地方に過ぎないから、もっと海外の現場もいかないとって話!今年はガンガン海外に行こうと思っているので、とても楽しみ!

 

山の中の荒れ果てたみかん畑を農地に変えた人に未来を感じた話

約2ヶ月も前の話を、さも先日あったことのように文章にするのが得意な菱木です。

 

日本における農業事情を考えたときに、外せない問題として中山間地域の耕作放棄地問題があります。
今回は九州で出逢った、山の合間で農業をやっている農家さんのお話です。

中山間地域というのは、字面から分かる通り、山と山に挟まれた地域のことで、平地と比べて作業効率が悪くなるため運用コストが高く、農業をするには敬遠される地域です。

とはいっても、日本の国土の7割が中山間地域なんですよ。

日本らしい風景の一つとして棚田がありますが、まさに山の傾斜面を上手く使った、昔ながらの米作りの象徴ともいえる風景です。ただし、景色は良いのですが、作業をする側は大変です。狭い通路しか取れないため、大型の農機具は入らず作業効率が悪くなります。

平地であれば一区画当たりの農地の面積も広く取れますが、中山間地域においては狭い耕作面積の単位で複数の農地を持つことになります。このように問題が多くあるため、耕作放棄地がドンドン増えているのが中山間地域です。

ちょっと情報古いですが、グラフで見るとこんな感じです。

右肩上がりで耕作放棄地が増えていってるのが分かります。

そんな問題がある中山間地域なのですが、とんでもない山の合間でアスパラガスを育てている農家さんがいらっしゃいました。

写真からでは分かりにくいかもしれませんが、山の中に急に農地が出現します。

この農地に辿り着くまで、途中20分くらい民家もないような山道を、ひたすら進むんですよ。運転しながら、

「農業をやっている人ではなく、林業をやっている人に会いに行っているのではなかろうか」

と考えてしまうレベルで山の中なんです。

ここ数年多くの農家さんと出会ってきましたが、このような場所で、専業で、かつ新規就農で農業をされている方と初めてお会いしました。

この場所で新規就農したのが上の写真の安東さんご夫妻。奥さんの実家が近い佐賀県の太良町の自然等に魅力を感じ、関西から移住して、この地域に就農したそうです。

新規就農と簡単にいっても、土地の確保が大きなネックになります。地域の農家さんの手伝いをしながら、平地で土地を探すも見つからず、そんな中で山間部の元々みかん畑だった荒れ果てた土地を借りるチャンスがあり、自ら開墾して現在の圃場を作ったそうです。

この山間での農業に希望を見出し、熊本から移住してきて安東さんご家族と一緒に働いている方もいらっしゃいました。

日本全国、山間の中山間地域をどう活用すべきか困っている地域が多くあります。前述した通り、作業効率が悪く、決してわざわざ好き好んで農場として選ぶ場所ではないと思います。

ただ、こういった場所を活用すると考えたときには、狭い面積の中で効率良く生産し、かつ高単価で販売できる作物を選ばないと、儲かりません。そういった環境で安東さんが選んだ作物がアスパラガスということでした。

もちろん、人一倍の苦労と努力がないと、普通の人が選ばない土地で成功することは難しいでしょう。

安東さんは土地の作り方や、肥料の作り方まで試行錯誤を重ね、平地で作るものに遜色ない、むしろ一般的なアスパラガスよりもクオリティの高い美味しいアスパラガスが作れるようになったそうです。

その証拠に、佐賀の食べる通信でも特集されています。

 

安東さんのアスパラガスはこちらのサイトから購入可能!

http://a-noker.com/

野菜を美味しく作ることももちろんですが、作った野菜を高く売ることも重要です。安東さんは”森のアスパラガス”とブランディングをされて、幅広い販売戦略もとっていらっしゃいます。こういった努力もまた大事なんですよね。

全国の中山間地域における活用方法のモデルケースとして、安東さんの事例はきっと展開できる気がしています。

人が見向きもしない土地でも、人がやらないことをやることで、中山間地域の耕作放棄地問題という社会問題を解決することができるかもしれない。

山の中で出逢った農家さんに、そんな未来を感じました。