農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜7〜
前回はこちら。
農業用ロボットの開発を始めようと思ってから今に至るまで〜6〜
先導プロジェクトという農水省が主体の助成金のプログラムに応募するにあたって農水省を訪れました。
そして、全く予想もしていなかった一通のメールが届きます。
「はじめまして。農水省技術会議事務局の◯◯と申します。TPP対策の先導プロジェクトで実施する研究開発の企画立案を担当しています。当局研究企画課の◯◯から貴殿が来省した際の話を聞きました。お話を直接お聞きしたいと考えているのですが、再度ご来省いただくことは可能でしょうか。
医療用マニピュレータを除草に利用するのは、スピードや価格など克服する課題がかなり多そうですが、そういった目的に限らず、特に貴殿が押さえている研究シーズの活用という観点から、幅広く意見交換できればと考えております。
ご検討いただければ幸いです。」
えっっ。◯◯ってメッチャ偉そうな肩書の人が興味持ってくれている!!!
大したことじゃないと思われるかもしれませんが、そもそも自分たちが相手にされるかどうかも分からない状況で農水省に伺いました。まさか、このように先方からアクションを起こされるとは思ってもいなかった分、心躍るメールでした。まぁ研究シーズとか言われても、僕は研究者ではございませんが!
とはいえ、もちろん一度お話をと言われて断るはずがありません。
いざ農水省へ
意気揚々と打合せに行くと、先方はお一人ではなく、ロボット専門官や園芸専門官等、その道のプロと思わしき担当者を含め計3名で待ち受けていてくれました。
今回の開発を思い至った経緯。現状の進捗具合、なぜ雑草を取るロボットを開発しようとしているか等々。こちらが考えている構想をひたすらお伝えしてみました。
その反応は、
「う〜〜ん・・・・・」
という、予想だにしない微妙な反応。なんだか変な空気が会議室の中を漂います。
明らかに好意的な感じではないことだけ明確に伝わる。なぜだ。なぜなんだ。先方から呼び出してくれたはずなのに、なぜこんなに微妙な反応なのだ。
弾まない会話の中、ちょっとずつ話を掘り下げていくと、なぜ先方が浮かない顔なのか理由が分かってきました。今回の助成金プログラムである先導プロジェクトはTPP関連の補正予算であるため、TPPで関税撤廃される野菜に対する対策を求めているそう。雑草を抜く除草ロボットはTPPとはほぼ直接的な関連がないため、先方としてもやりようがない印象のようです。
新たな打開策
何かしら光が見えたと思ったのに、この状況ではまずい。どうすれば良いのか。そんなとき先方がこんな一言をつぶやきました。
「その技術を他に使えることってないんですかね」
・・・
・・・
・・・
あるある!!
雑草以外にもある!
早速、もったいぶっていたかのような調子で切り出します。
「実はアスパラガス農家さんから収穫ロボットを開発してもらいたいと言われているんですよ」
「それは面白いですね」
キタコレ感満載の回答をいただきました。そして、まさかのアスパラガスはTPPによる関税撤廃対象の作物に該当しており、今回の補助金対象として検討しやすい作物であることが分かりました。
GOアスパラ
カマコン繋がりで福岡に行って。そのときに話をした農家さんに会いに、別日に佐賀に行って現地を視察して。全くお金にならないことをやっていたことが、まさかまさかで繋がっていくものです。
雑草の除去ロボットを第一優先に考えていましたが、こうなれば先ずは形にすることを優先し、アスパラガスの収穫ロボットを開発することに対して振り切って計画を立てていくしかありません。資金を集めるためには、それが一番望みがありそう。
ただ、アスパラガスの収穫ロボットで助成金を得られるかもしれない可能性があることは分かりましたが、果たして市場性が本当にあるのかどうか。世の中のアスパラガス農家さんが、収穫ロボットを開発したとして、購入してくれる可能性があるのかどうか。
1件ヒアリングした成果だけでは、どのような機能を持たせるかといったことを含め、自分自身納得感のいくものができるわけでもありません。
となると、アスパラガス農家に直当たりをして、自分たちがいま考えている構想が果たして市場に受け入れられるかどうかを確認する作業が必要となるわけです。
まず、やるべきことは、
1,生産地を調べる
2,主要生産地の中で連絡先が分かる人を見つける
3,ブログをやっている人、記事で取り扱われている人がいないか
4,上記で掲載している人はFBで個人アカウントがないか
5,個人の連絡先が見つかれなければ、取り扱われた媒体に連絡してみる
こんな感じでリサーチをかけていき、とにかく生産者の方を探し始めました。Webメディアに取り上げられていた方の連絡先が分からなかったので、メディアの編集長経由で繋いでいただいたりと、使えるものは全て使って生産者の方とお会いしていきました。
直接直当たりをしていくことで、新たな気付きがたくさん生まれていきます。
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