
AIを活用した自動野菜収穫ロボット等の生産者向けサービスを提供するinaho株式会社(本社:神奈川県藤沢市、代表取締役:菱木豊、以下「inaho」)は、2026年6月30日付で、「農業の生産性の向上のためのスマート農業技術の活用の促進に関する法律」(スマート農業技術活用促進法)に基づく開発供給実施計画について、農林水産大臣の認定を取得しました。
本計画に基づき、inahoは施設栽培トマトにおける葉かき・芽かき作業を自動で行うロボットの開発・供給に取り組みます。本ロボットには、視覚(Vision)・言語(Language)・行動(Action)を統合的に扱う基盤モデル「VLA」を活用し、ロボットの農業現場への社会実装を目指します。
スマート農業技術活用促進法は、農業において特に必要性が高いスマート農業技術等の開発・普及に関する計画(開発供給実施計画)を農林水産大臣が認定し、認定事業者が金融・税制等の支援措置を受けられる制度です。
2026年6月30日、inahoの計画「施設栽培トマトの葉かき・芽かき作業において、茎葉等の遮蔽環境に対応可能な多段型アルゴリズムと副腕付きアームを統合した自動葉かき・芽かきロボットの開発及び供給」(実施期間:5年間)が認定されました。
本技術は、摘葉等の省力化により労働時間の60%削減に資する技術と位置づけられています。
<参考>
葉かき・芽かきは、養分を果実へ効率よく集中させ、品質と収量を安定させるために欠かせない栽培管理作業です。
枯れた葉を取り除くのではなく、葉がまだ緑色のうちから計画的に下葉やわき芽を除去していく、栽培期間を通じて繰り返し発生する作業であり、施設栽培トマトでは収穫と並んで大きな労働時間を占めています。
一方で、農業現場では人手不足と高齢化が深刻化しており、こうした労働集約的な管理作業の省力化は、産地の維持・拡大に向けた喫緊の課題となっています。
葉かき・芽かきの自動化は、工場内の自動化とは質の異なる難しさを持っています。
対象となるのは、一つひとつ形も硬さも異なる、柔らかく傷つきやすい生体です。茎葉が幾重にも入り組み、取るべき葉が果実や茎の陰に隠れている遮蔽環境の中で、残すべきものを傷つけずに、取るべきものだけを正確に取り除かなくてはなりません。
さらに、光環境は時間や天候で刻々と変わり、整備された環境で決められた動作を繰り返す従来型のロボットが苦手としてきた条件が、揃った現場と言えます。
裏を返せば、ここで動くロボットを実現することは、ロボット適用の可能性を押し広げる挑戦です。
本計画で開発する自動葉かき・芽かきロボットは、以下の要素技術を統合したものです。
つる下ろし等の高所作業台車でカバーする領域より下方の、高さ300cmまでの葉かき・芽かき作業を本ロボットが担うことを想定しています。
本ロボットの頭脳には、VLA(Vision-Language-Action)モデルを活用します。
VLAは、カメラ等から得られる視覚情報と、言語で表現された作業指示や知識を統合的に理解し、ロボットの動作を直接生成する基盤モデルです。
タスクごとに個別の認識・制御を作り込む従来型のアプローチでは対応しきれなかった非定型作業に対し、高い汎化能力を発揮することが期待され、世界的に研究開発が加速している領域です。
一方で、VLAの多くはいまだ研究室や整備された環境での実証が中心であり、農業のような不確実性の高い実環境で価値を生む段階に至った事例は世界的にも限られています。
inahoは、自動野菜収穫ロボットの開発・運用を通じて日本とオランダの農業現場で蓄積してきた実装知見と、VLAをはじめとするロボット基盤モデル技術を掛け合わせ、農業分野におけるロボットの実用化をいち早く実現することを目指します。
inahoでは、ロボットアームや台車などの機械設計、屋外・バッテリー駆動環境に耐える電気・電子回路、そして認識・制御からVLAまでのソフトウェアを、社内の一つのチームで一気通貫に開発しています。
設計したものを実際の圃場に持ち込み、泥や湿度、光のゆらぎの中で動かし、得られたデータと課題を翌週の設計に反映する。
この現場との往復の速さこそが、実環境で動くフィジカルAIを実現する上でのinahoの強みであり、本計画でもこの開発スタイルを軸に据えます。
こうした開発の過程は、今後も継続的に発信してまいります。
本認定に基づく支援措置も活用しながら、開発と現場実証を加速し、施設栽培トマト産地への供給を目指します。
将来的には、本技術で培った遮蔽環境対応・柔軟物操作の技術を他品目・他作業へも展開し、栽培管理作業全体の自動化を進めてまいります。